はじめに
妊娠中の栄養というと、鉄分や葉酸、カルシウムが注目されます。
しかし、それらを“活かす”ために欠かせない栄養素があります。
それが ビタミンD です。
ビタミンDは、
- カルシウムの吸収を助ける
- 赤ちゃんの骨の形成を支える
- ママの骨量を守る
- 免疫機能を調整する
という大切な働きのサポートをしてくれます。
近年、日本人女性の多くがビタミンD不足傾向にあると報告されており、妊娠期は特に意識したい栄養素のひとつです。
① 妊娠中のビタミンDの必要量
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、
- 18〜49歳女性(妊娠していない場合):9.0μg/日
- 妊婦:9.0μg/日
- 授乳婦:9.0μg/日
とされています。
数値は妊娠していない場合と同じです。
「妊娠中なのに増えないの?」と感じるかもしれません。
しかしこれは、妊娠中に必要性が低いという意味ではありません。
なぜ同じ目安量なの?
妊娠中は、
- 胎児の骨格形成を支えるためにカルシウムやリンが必要になり
- 胎盤が正常に機能するためにさまざまな栄養素が関わり
- 母体の骨量を維持するためにもカルシウム代謝が重要になります
ビタミンDは、これらの栄養素が体内で適切に働くよう“調整する役割”を担っています。
つまり、ビタミンDは単独で働く主役というよりも、
カルシウムなどの栄養素を活かすためのサポート役なのです。
それでも目安量が増えていない理由は、
- 日光による体内合成が考慮されていること
- 体内利用効率がある程度保たれること
などが背景にあります。
ただし現代の生活では、
- 室内中心の生活
- 日焼け対策の徹底
- 魚の摂取量減少
により、潜在的不足状態の女性が多いといわれています。
耐容上限量も知っておこう
ビタミンDの耐容上限量は
👉 100μg/日
です。
通常の食事で過剰になることはほぼありませんが、
サプリメントの併用には注意が必要です。
② ビタミンDの働き ― カルシウムとの関係
ビタミンDの最も重要な働きは、
👉 腸管でのカルシウム吸収を高めること
です。
カルシウムだけを摂っても、ビタミンDが不足していると効率よく吸収されません。
妊娠期は、赤ちゃんの骨の土台を作る時期。
カルシウムとビタミンDは“セット”で考えることが大切です。
③ 赤ちゃんへの影響
胎児は母体からビタミンDを受け取ります。
不足すると、
- 骨の石灰化低下
- 低出生体重との関連
- 将来的な骨量への影響
が指摘されています。
妊娠期は、赤ちゃんの骨の“はじまり”を支える時期です。
④ ママへの影響
妊娠中は胎児へ優先的にカルシウムが送られます。
ビタミンDが不足すると、母体の骨からカルシウムが溶け出しやすくなります。
その結果、
- 妊娠・授乳期の骨密度低下
- 将来の骨粗しょう症リスク上昇
につながる可能性があります。
妊娠期は「赤ちゃんのため」だけでなく、
自分の将来の骨を守るスタート地点でもあります。
⑤ 食事からの具体的な摂り方
■ 魚類(最も効率的な供給源)
例:
- 鮭1切れ(80g):約8〜10μg
- さんま1尾:約15μg
- いわし2尾:約8μg
鮭1切れで1日分に近い量を摂取できます。
■ 水銀は大丈夫?
ビタミンDが豊富な魚の多くは、
- 鮭
- さんま
- いわし
- さば
などの比較的水銀が少ない魚です。
妊娠中に摂取量制限があるのは、
- キンメダイ
- メカジキ
- クロマグロ(本マグロ)
などの大型魚です。
例えばキンメダイは、
👉 週1回(約80g)程度までが目安
とされています。
一方、
鮭・さんま・いわしなどは
通常の範囲(週2〜3回程度)であれば問題ないとされています。
大切なのは、
✔ 種類を偏らせない
✔ 同じ大型魚を頻回に食べない
ことです。
過度に神経質になる必要はありません。
■ きのこ類
- まいたけ100g:約4μg
- 干ししいたけ数枚:約2〜3μg
きのこは天日干しでビタミンDが増加します。
調理前に1時間ほど日光に当てるだけでも増加が期待できます。
⑥ 日光浴の目安
目安は、
- 春〜秋:15〜30分程度
- 冬:30分程度
手や顔に軽く日光が当たる程度で十分です。
日常生活の延長(散歩、洗濯)で問題ありません。
長時間の直射日光は不要です。
⑦ サプリメントは必要?
基本は食事と日光で補うことが理想です。
ただし、
- 魚が苦手
- 室内中心の生活
- 冬場
などの場合は不足する可能性があります。
サプリを利用する場合は、
✔ 上限量(100μg/日)を超えない
✔ 医師に相談する
ことが大切です。
⑧ 妊娠期だけでなく、これからの人生にも
ビタミンDは、
- 骨粗しょう症予防
- 転倒予防
- 筋力維持
- 免疫調整
に関与します。
女性は閉経後に骨量が急激に低下します。
妊娠期は、赤ちゃんだけでなく、
自分の将来の足腰を守るための“準備期間”でもあります。
まとめ
妊娠中のビタミンDは
✔ 目安量は9.0μg/日
✔ 妊娠していない時と同じだが、重要性は高い
✔ 魚1切れでほぼ満たせる場合もある
✔ 水銀は種類を偏らせなければ過度な心配は不要
✔ 将来の骨の健康にも重要
特別なことは必要ありません。
魚を週に数回取り入れること。
少し外に出ること。
バランスよく食べること。
それが赤ちゃんとあなた、両方の未来を支えます。
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