妊娠中は、今までよりも疲れやすくなったと感じる方が多くいます。
- 少し動いただけでぐったりする
- 家事をするだけで息切れする
- 午後になると強い疲労感が出る
こうした変化は、決して珍しいことではありません。
妊娠中は赤ちゃんの成長を支えるために、体の中で多くの変化が起こっています。その影響で、エネルギーや栄養素の必要量が増え、疲れやすさを感じやすくなることがあります。
特に関係しているのが
- 鉄不足による貧血
- 血糖値の変動
- エネルギー不足
などです。
実は、これらは毎日の食事である程度整えることができる要素でもあります。
この記事では管理栄養士の視点から
- 妊娠中に疲れやすくなる理由
- 疲れを感じやすいときの栄養素
- 食事でできる具体的な対策
を、数値や具体例を交えてわかりやすく解説します。
また、妊娠期に整えた食習慣は、出産後やその先の健康にもつながる大切な習慣になります。無理のない範囲で、できることから取り入れていきましょう。
妊娠中のだるさについては、
**「【管理栄養士が解説】妊娠中にだるいのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・おすすめの栄養素」**の記事でも詳しく解説しています。
妊娠中に疲れやすいのはなぜ?
妊娠中に疲れやすくなる背景には、いくつかの体の変化があります。
代表的な原因は次の3つです。
- 鉄不足による貧血
- 血糖値の変動
- エネルギー不足
それぞれ詳しく見ていきましょう。
鉄不足による貧血
妊娠中に疲れやすくなる原因として、最も多いのが鉄不足による貧血です。
妊娠すると
- 赤ちゃんに酸素を届ける
- 胎盤を作る
- 血液量が増える
といった理由から、血液量は妊娠前の約1.3〜1.5倍まで増えます。
そのため鉄の必要量も増え、
- 妊娠前:6.5mg
- 妊娠中期〜後期:16mg
と大きく増加します。
鉄が不足すると、体の細胞に十分な酸素が届きにくくなり
- 疲れやすい
- 息切れ
- めまい
- 動悸
といった症状が起こりやすくなります。
妊娠期の貧血については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉【管理栄養士が解説】妊娠期の貧血とは?原因・診断基準・食事対策まで専門的にわかりやすく解説
妊娠中の動悸、めまい、息切れについては、こちらの記事で解説しています。
【管理栄養士が解説】妊娠中に動悸が起こるのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・避けたい食品
【管理栄養士が解説】妊娠中のめまいは食べ物で改善できる?原因とおすすめの食事・避けたい食品
【管理栄養士が解説】妊娠中に息切れするのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・受診の目安
血糖値の変動
疲れやすさには、血糖値の変動も関係しています。
血糖値は体のエネルギー源です。
しかし
- 甘いもの中心の食事
- 炭水化物だけの食事
- 食事間隔が長すぎる
といった食習慣があると、血糖値が急激に上下します。
血糖値が急に下がると
- 強い眠気
- だるさ
- 集中力低下
- 疲労感
が起こりやすくなります。
血糖値を安定させる食事については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
👉【管理栄養士が解説】妊娠中の食後血糖値を上げない方法|食事・間食・生活習慣の具体的対策
エネルギー不足
妊娠中は、赤ちゃんの成長のためにエネルギー消費が増えます。
追加で必要なエネルギー量は
- 妊娠初期:+50kcal
- 妊娠中期:+250kcal
- 妊娠後期:+450kcal
とされています。
しかし
- 体重増加を気にして食事量を減らす
- つわりで食事量が減る
といった状況があると、エネルギー不足による疲労感が出やすくなります。
体重管理については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉【管理栄養士が解説】妊娠中の体重管理|増え方の目安・血糖コントロール・将来につながる食事の整え方
妊娠中の疲れ対策に大切な栄養素
疲れやすさを感じるときは、次の栄養素を意識するとよいでしょう。
- 鉄
- ビタミンB群
- たんぱく質
これらは、体のエネルギー代謝や酸素運搬に関わる栄養素です。
鉄
鉄は、体に酸素を運ぶヘモグロビンの材料になります。
不足すると
- 貧血
- 息切れ
- めまい
- 強い疲労感
が起こりやすくなります。
鉄を多く含む食品
| 食品 | 鉄(100gあたり) |
| レバー | 13mg |
| あさり | 3.8mg |
| 牛赤身肉 | 2.7mg |
| 小松菜 | 2.8mg |
妊娠中の鉄の必要量については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
👉【管理栄養士解説】妊娠中の鉄分はどれくらい必要?妊娠初期の必要量と不足リスク
ミネラル不足の場合は足がつることかあります。
【管理栄養士が解説】妊娠中に足がつるのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・おすすめの栄養素
ビタミンB群
ビタミンB群は、エネルギーを作る栄養素です。
糖質・脂質・たんぱく質をエネルギーに変える働きがあります。
不足すると
- だるさ
- 疲れやすさ
- 食欲低下
などが起こることがあります。
多く含む食品
- 豚肉
- 卵
- 納豆
- 玄米
たんぱく質
たんぱく質は、体の筋肉や血液の材料になります。
不足すると
- 筋力低下
- 代謝低下
- 疲れやすさ
につながることがあります。
妊娠中は
体重1kgあたり約1.0〜1.1g
が目安とされています。
疲れやすいときにおすすめの食べ物
具体的な食事の例を紹介します。
魚料理
例
- 鮭
- さば
- いわし
たんぱく質・鉄・ビタミンB群が同時にとれます。
※妊娠中は水銀量の多い魚(メカジキなど)の食べすぎには注意しましょう。詳しくはこちら
👉【管理栄養士が解説】妊娠中に避けたい食べ物一覧|理由と目安量をやさしく解説
赤身肉
牛赤身肉は鉄を効率よく補給できます。
ただし脂質の多い肉は体重増加につながるため、赤身を選ぶことがポイントです。
大豆製品
- 豆腐
- 納豆
- 厚揚げ
植物性たんぱく質と鉄が補給できます。
バランスの良い食事例
例
朝
ごはん+卵+味噌汁
昼
ごはん+焼き魚+野菜
夜
ごはん+鶏肉+野菜
具体的な食事例は、こちらの記事で紹介しています。
👉【管理栄養士が解説】妊娠中の夜ご飯メニュー|体重管理と栄養バランスを整える食事例
👉【管理栄養士が解説】妊娠中の1週間献立|栄養バランスが整う食事例と簡単メニュー
疲れやすいときに避けたい食習慣
甘いもの中心の食事
血糖値が急上昇・急降下し、疲労感の原因になります。
食事を抜く
血糖値低下によるだるさが出やすくなります。
カフェインのとりすぎ
カフェインは覚醒作用がありますが、摂りすぎると睡眠の質が低下することがあります。
妊娠中のカフェインは
1日200mg以下
が目安とされています。
受診を検討したほうがよい症状
次の症状がある場合は医師に相談しましょう。
- 強い息切れ
- 動悸
- めまい
- 立てないほどの疲労感
こうした症状は、貧血などが関係している可能性があります。
👉【管理栄養士が解説】妊娠中に動悸が起こるのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・避けたい食品
まとめ
妊娠中に疲れやすいと感じるのは、体の変化による自然なことです。
特に関係するのは
- 貧血
- 血糖値の変動
- エネルギー不足
などです。
食事では
- 鉄
- ビタミンB群
- たんぱく質
を意識し、バランスのよい食事を続けることが大切です。
妊娠期に整えた食習慣は、出産後やその先の健康にもつながる大切な習慣になります。
無理のない範囲で、できることから取り入れていきましょう。
