妊娠中に「少し動いただけで息が上がる」「階段で息切れしやすい」と感じることはありませんか。
妊娠中は赤ちゃんを育てるために体の働きが大きく変化するため、妊娠していないときに比べて息切れを感じやすくなることがあります。
多くの場合は体の自然な変化によるものですが、
貧血やエネルギー不足など食事が関係していることも少なくありません。
この記事では管理栄養士の視点から
- 妊娠中に息切れが起こる理由
- 食事との関係
- 食べ物でできる対策
- 受診の目安
をわかりやすく解説します。
不安を感じている方も多い症状ですが、体の仕組みを理解し、日々の食事を整えることが体調管理の助けになります。
妊娠中は息切れだけでなく、動悸やめまい、だるいなどの症状を同時に感じることもあります。症状が重なる場合は、それぞれの原因や食事対策を知っておくと安心です。
【管理栄養士が解説】妊娠中に動悸が起こるのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・避けたい食品
【管理栄養士が解説】妊娠中のめまいは食べ物で改善できる?原因とおすすめの食事・避けたい食品
【管理栄養士が解説】妊娠中にだるいのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・おすすめの栄養素
妊娠中に息切れが起こりやすい理由
妊娠中に息切れが起こる主な理由は、体の変化による呼吸や血液量の変化です。
妊娠すると、体は赤ちゃんへ酸素や栄養を届けるために大きく変化します。
代表的な変化は次のとおりです。
血液量が増える
妊娠すると、血液量は妊娠前に比べて約40〜50%増加するとされています。
これは赤ちゃんや胎盤へ栄養と酸素を届けるためですが、血液が増える一方で赤血球の割合が相対的に減るため、**「生理的貧血」**と呼ばれる状態になりやすくなります。
この状態では酸素を運ぶ能力が低下し、息切れを感じることがあります。
子宮が大きくなり横隔膜を押し上げる
妊娠中期以降は子宮が大きくなることで、肺の下にある横隔膜が押し上げられます。
その結果、肺が広がりにくくなり、呼吸が浅くなって息切れを感じることがあります。
また、体重の増え方には目安があり、適切に管理することで呼吸の負担を軽減できる場合があります。詳しくは
【管理栄養士が解説】妊娠中の体重管理|増え方の目安・血糖コントロール・将来につながる食事の整え方
でわかりやすく解説しています。
また、息切れは、妊娠中の疲労感とも深く関係しています。
食事でできる疲労対策については
**「【管理栄養士が解説】妊娠中に疲れやすいのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・おすすめの栄養素」**の記事も参考にしてください。
食事が原因になる息切れとは
妊娠中の息切れには、栄養不足が関係しているケースもあります。
特に影響しやすいのが次の2つです。
鉄不足
鉄は血液中のヘモグロビンを作る栄養素で、酸素を体中に運ぶ役割があります。
妊娠中は赤ちゃんの成長や胎盤の形成のために鉄が多く使われるため、
必要量は妊娠していないときの約2倍近くに増えます。
日本人の食事摂取基準では
妊娠中期・後期の鉄推奨量
16mg/日
とされています。
鉄不足が進むと
- 息切れ
- めまい
- 動悸
- 疲れやすさ
などの症状が出ることがあります。
妊娠中は鉄不足による貧血が起こりやすく、息切れの原因になることがあります。
詳しくは「【管理栄養士が解説】妊娠期の貧血とは?原因・診断基準・食事対策まで専門的にわかりやすく解説」も参考にしてみてください。
ミネラル不足は息切れだけでなく、足がつる症状につながることもあります。
【管理栄養士が解説】妊娠中に足がつるのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・おすすめの栄養素
エネルギー不足(血糖値の低下)
妊娠中は赤ちゃんの成長や胎盤の形成、血液量の増加などによって、妊娠していないときよりも多くのエネルギーを必要とします。
日本人の食事摂取基準では、妊娠中期・後期には1日あたり約250kcalの追加エネルギーが必要とされています。
しかし
- つわりで食事量が減る
- 食事間隔が長くなる
- 炭水化物を極端に減らす
といった状態が続くと、体がエネルギー不足になり、血糖値が低下しやすくなります。
血糖値が下がると体はエネルギー不足を補おうとして交感神経が働き、
- 息切れ
- 動悸
- 手の震え
- めまい
といった症状を感じることがあります。
そのため妊娠中は、食事量を極端に減らすのではなく、主食・主菜・副菜をそろえた食事でエネルギーを安定して補給することが大切です。
また、食事の間隔が空きすぎる場合は、血糖値を安定させるために間食を上手に取り入れることも有効です。
血糖値を安定させる食事の工夫については
「【管理栄養士が解説】妊娠中の食後血糖値を上げない方法|食事・間食・生活習慣の具体的対策」で詳しく解説しています。
さらに、妊娠中のおやつの量や選び方については
「【管理栄養士が解説】妊娠中のおやつは必要?何をどれくらい食べていい?体重管理と栄養補給を両立する間食の考え方」の記事も参考にしてみてください。
息切れ対策に大切な栄養素
息切れ対策では、次の栄養素を意識することが大切です。
鉄
役割
酸素運搬
多い食材
- 赤身肉
- かつお
- まぐろ
- あさり
- 小松菜
妊娠中は鉄の必要量が大きく増えるため、食事からしっかり補うことが大切です。妊娠中の鉄分の必要量や食べ物については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
【管理栄養士解説】妊娠中の鉄分はどれくらい必要?妊娠初期の必要量と不足リスク
たんぱく質
ヘモグロビンの材料になります。
例
- 肉
- 魚
- 卵
- 大豆製品
ビタミンC
鉄の吸収を高めます。
例
- ブロッコリー
- パプリカ
- キウイ
- いちご
妊娠中は栄養バランスの整った食事を続けることが体調管理につながります。具体的な食事例については、こちらの記事でも紹介しています。
【管理栄養士が解説】妊娠中の夜ご飯メニュー|体重管理と栄養バランスを整える食事例
【管理栄養士が解説】妊娠中の1週間献立|栄養バランスが整う食事例と簡単メニュー
息切れを感じるときのおすすめ食べ物
食事では鉄+たんぱく質+ビタミンCを組み合わせると効率よく栄養を補給できます。
例
鶏むね肉+ブロッコリー
鉄+たんぱく質+ビタミンC
かつお+小松菜の味噌汁
鉄+ミネラル
厚揚げ+水菜
植物性鉄+たんぱく質
妊娠中に取り入れやすい簡単な食事例は「【管理栄養士が解説】妊娠中の夜ご飯メニュー|体重管理と栄養バランスを整える食事例」でも紹介しています。
息切れを悪化させる可能性のある食習慣
次の習慣は栄養不足を招きやすく、息切れの原因になることがあります。
食事量が少ない
つわりなどで食事量が減ると、エネルギーや鉄が不足します。
また、空腹時間が長くなると血糖値が変動しやすくなるため、妊娠中はバランスの良い食事に加えて間食を上手に取り入れることも大切です。
【管理栄養士が解説】妊娠中のおやつは必要?何をどれくらい食べていい?体重管理と栄養補給を両立する間食の考え方
カフェインの摂りすぎ
カフェインは鉄の吸収を妨げる可能性があります。
妊娠中のカフェイン目安
200mg/日以下
例
コーヒー
1杯 約80〜100mg
妊娠中と妊娠していないときの違い
妊娠中は
- 血液量増加
- 鉄必要量増加
- 子宮拡大
などの理由で、妊娠していないときより息切れを感じやすくなります。
そのため、妊娠中は意識的に栄養を補給することが大切です。
受診したほうがよい息切れ
次の症状がある場合は医療機関に相談してください。
強い貧血
安静でも息苦しい
動悸が強い
めまいが続く
息切れと一緒に動悸やめまいを感じる場合は、次の記事も参考になります。
【管理栄養士が解説】妊娠中に動悸が起こるのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・避けたい食品
【管理栄養士が解説】妊娠中のめまいは食べ物で改善できる?原因とおすすめの食事・避けたい食品
妊娠中の息切れと上手につきあう食事習慣
妊娠中の息切れは、多くの場合体の変化による自然な症状です。
しかし
- 鉄不足
- 食事量不足
- 栄養バランスの乱れ
などが関係していることもあります。
日々の食事で
- 主食
- 主菜
- 副菜
を意識したバランスのよい食事を心がけることが、体調管理の基本になります。
妊娠中に食事を見直すことは、赤ちゃんの成長だけでなく、出産後や将来の健康にもつながる大切な習慣になります。
無理のない範囲で、少しずつ食生活を整えていきましょう。
妊娠中の体調変化は、食事や生活習慣と関係していることも少なくありません。息切れだけでなく、妊娠中に起こりやすい症状と食事対策についても合わせて知っておくと安心です。
【管理栄養士が解説】妊娠中に動悸が起こるのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・避けたい食品
【管理栄養士が解説】妊娠中のめまいは食べ物で改善できる?原因とおすすめの食事・避けたい食品
