妊娠中に
- 急に心臓がドキドキする
- 少し動いただけで動悸がする
- 横になっていても胸が苦しい
このような症状を感じて、不安になる方は少なくありません。
実は妊娠中は、体の変化によって動悸が起こりやすい状態になります。
特に関係するのが
- 血液量の増加
- 貧血
- 血糖値の変動
- 自律神経の変化
などです。
そしてこれらの状態には、日々の食事も深く関係しています。
この記事では管理栄養士の視点から
- 妊娠中に動悸が起こる原因
- 食事でできる対策
- 意識したい栄養素
- 避けたい食べ物
を、具体的な数値や食事例を交えながらわかりやすく解説します。
妊娠中の体調を整える食事は、出産後やその先の健康にもつながる大切な習慣です。
できることから少しずつ取り入れてみましょう。
妊娠中に動悸が起こりやすい理由
妊娠中は、妊娠していないときと比べて体の働きが大きく変化します。
特に心臓や血液循環の変化は大きく、動悸を感じやすい状態になります。
主な理由は次の通りです。
血液量が増えて心臓の負担が増える
妊娠中は赤ちゃんに酸素や栄養を届けるため、血液量が約1.4〜1.5倍に増加します。
そのため心臓は、普段より多くの血液を全身に送り出さなければなりません。
結果として
- 心拍数の増加
- 心臓の拍動を強く感じる
といった動悸が起こりやすくなります。
これは多くの場合、妊娠による自然な変化です。
ただし、栄養状態や体調によって症状が強くなることがあります。
妊娠中の貧血
妊娠中は赤ちゃんの成長により鉄分の需要が増えます。
妊娠中期〜後期では
1日約16mgの鉄分が必要とされています。
しかし食事だけで十分に摂取できない場合、鉄欠乏性貧血が起こることがあります。
貧血になると
- 心臓が多くの血液を送ろうとする
- 酸素不足を補おうとする
ため、動悸が起こりやすくなります。
妊娠中は貧血も起こりやすく、動悸やめまいの原因になることがあります。
妊娠期の貧血については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【管理栄養士が解説】妊娠期の貧血とは?原因・診断基準・食事対策まで専門的にわかりやすく解説
また、妊娠中は血液量が増えることで、めまいや立ちくらみを感じることもあります。
動悸と同時にめまいが気になる場合は、原因や食事の整え方を知っておくと安心です。
妊娠中のめまいの原因や食事対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【管理栄養士が解説】妊娠中のめまいは食べ物で改善できる?原因とおすすめの食事・避けたい食品
血糖値の急激な変化
食事内容によって血糖値が急激に変動すると、体に負担がかかります。
特に
- 空腹時間が長い
- 甘いもの中心の食事
- 炭水化物だけの食事
などでは、血糖値が急上昇したあと急降下することがあります。
この変動は
- 動悸
- だるさ
- 手の震え
などの症状につながることがあります。
妊娠中はホルモンの影響で血糖値が変動しやすくなります。
血糖値スパイクについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
【管理栄養士が解説】妊娠中の血糖値スパイクとは?急上昇の原因・インスリンと脂肪蓄積の関係までわかりやすく解説
また、空腹時間が長くなると血糖値が大きく変動し、動悸や体調の変化を感じることがあります。
妊娠中は無理に間食を我慢するよりも、血糖値が安定するような「適切なおやつ」を取り入れることが大切です。
妊娠中のおやつの量や選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【管理栄養士が解説】妊娠中のおやつは必要?何をどれくらい食べていい?体重管理と栄養補給を両立する間食の考え方
妊娠中の動悸をやわらげる食べ物
食事ですべての動悸を防げるわけではありませんが、栄養バランスを整えることで体への負担を減らすことができます。
特に意識したい栄養素は次の3つです。
鉄分
鉄分は赤血球をつくる重要な栄養素です。
不足すると
- 貧血
- 動悸
- めまい
- 疲れやすさ
などの症状につながります。
妊娠中期〜後期の推奨量
16mg/日
鉄分が多い食べ物
| 食品 | 鉄分(100gあたり) |
| レバー | 約13mg |
| あさり | 約3.8mg |
| 赤身肉 | 約2.5mg |
| 小松菜 | 約2.8mg |
※表の栄養価は可食部100gあたりの目安です。
実際の1食量は、例えばほうれん草のおひたし1皿で約60〜70g程度になることが多いため、食事では複数の食品を組み合わせて鉄分を補うことが大切です。
鉄分は
ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が高まります。
例
- 小松菜+パプリカ
- 肉+ブロッコリー
マグネシウム
マグネシウムは
- 神経
- 筋肉
- 心臓の働き
に関わるミネラルです。
不足すると
- 動悸
- 足がつる
- 疲労感
などが起こりやすくなります。
多い食べ物
- アーモンド
- 大豆
- 玄米
- ひじき
「妊娠中は足がつる症状も起こりやすく、ミネラル不足が関係することがあります。」
【管理栄養士が解説】妊娠中に足がつるのはなぜ?原因と食べ物でできる対策・おすすめの栄養素
たんぱく質
たんぱく質は
- 血液
- 筋肉
- 酵素
など体をつくる材料になります。
不足すると
- 疲れやすい
- 体調不良
につながることがあります。
例
- 鶏肉
- 魚
- 卵
- 豆腐
妊娠中の動悸を悪化させる食べ物
食事内容によっては、動悸が強くなることがあります。
カフェイン
カフェインは心拍数を増やす作用があります。
妊娠中の目安
200mg/日以内
例
| 飲み物 | カフェイン(100gあたり) |
| コーヒー | 約80mg |
| 緑茶 | 約30mg |
| 紅茶 | 約50mg |
コーヒーなら
1〜2杯程度が目安です。
甘いものの食べ過ぎ
砂糖の多い食品は
- 血糖値急上昇
- 急降下
を起こしやすく、動悸や疲労感につながることがあります。
例
- 菓子パン
- ケーキ
- 清涼飲料水
妊娠中の動悸を防ぐ食事のコツ
日々の食事では、次のポイントを意識すると体調を整えやすくなります。
食事を抜かない
空腹時間が長いと
- 血糖値の乱れ
- 動悸
- めまい
が起こりやすくなります。
主食・主菜・副菜をそろえる
例
- ごはん
- 魚や肉
- 野菜
この3つをそろえることで
- 血糖値の安定
- 栄養バランス
が整いやすくなります。
間食をうまく活用する
妊娠中は
1日3食+間食1〜2回
に分けると血糖値が安定しやすくなります。
受診が必要な動悸
次のような場合は、医療機関に相談してください。
- 強い胸痛
- 息苦しさ
- 失神
- 症状が続く
妊娠中は体調が大きく変化するため、不安なときは早めに相談することが大切です。
まとめ
妊娠中の動悸は
- 血液量の増加
- 貧血
- 血糖値の変動
などが関係して起こることがあります。
食事では
- 鉄分
- マグネシウム
- たんぱく質
を意識しながら、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
妊娠中に整えた食習慣は、出産後や将来の健康にもつながる大切な基盤になります。
無理のない範囲で、できることから取り入れていきましょう。
妊娠中の動悸を予防するためには、特定の食べ物だけでなく、日々の食事バランスや体重管理も大切です。
妊娠中の体重増加の目安や食事量については、こちらの記事で詳しく解説しています。

